ワルダクミ その3:スポーツ・レクリエーション地区の条例を法を捻じ曲げて作り、第二種住居地域に観覧場を作ってよいとした。2021年9月。
第二種住居地区に「観覧場」を作ってはいけない、の「観覧場」を先に復習しておきましょう。建物用途を示す言葉としては新しく2003年からです。瑞穂陸上競技場も観覧場ですが「屋外観覧場」です。愛知国際アリーナは「屋内観覧場」です。建築基準法の単体規定(防火、排煙、避難)は、屋内となると劇場、映画館と同等に厳しくなります。かっての法文では「興行場」とありました。瑞穂陸上競技場のように公営の観客席をプロサッカーが売るようになって、不特定多数の観覧を守るために建築基準法は観覧場とひとくくりにしましたが、プロサッカーは年間10試合しかなく「運動施設 陸上競技場」として通常あるので、都市計画法9条、建築基準法49条の「特別用途地区」で済まされたと思います。
名古屋市住宅都市局建築部長は総務局の「工事説明会」を知っていて、総務局から尻を叩かれたのでしょう。名城公園のアリーナの為だけに、たった2条の条例をすぐに作りました。都市計画部がかかわった瑞穂公園はすでに都市計画決定を名古屋市都市計画審議会で得て、瑞穂公園条例も別に改定してあり、この条例は瑞穂公園には要りません。名城公園の為だけの脱法行為です。
名古屋市のホームページから「特別用途地区」の解説・建築基準法49条と、建築基準法48条6項(許可申請)の条文を並べました。
●建築基準法(用途地域等)第四十八条
6 第二種住居地域内においては、別表第二(へ)項に掲げる建築物は、建築してはならない。ただし、特定行政庁が第二種住居地域における住居の環境を害するおそれがないと認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
15 特定行政庁は、前各項のただし書の規定による許可(次項において「特例許可」という。)をする場合においては、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聴取し、かつ、建築審査会の同意を得なければならない。
13の用途地域の指定を補完するためによりきめ細かい用途規制をかけるのが「特別用途地区」であり、48条6項は申請されたら建築審査会で「住居の環境を害する恐れがない」「公益上やむおえない」「利害関係を有する者の出頭を求めて公開により意見を聞き」建築審査会の「同意」がいるものであり、建築基準法49条と、建築基準法48条6項(許可申請)は別物であり、このように住民を無視した、法文をまたいだ条例をつくり、役人が違法行為するのは許せません。議会で通っている条例ですが、議員はわからなかったのでしょう。
都市計画課の作った「都市計画決定」の文章と、建築指導課の作った「条例」を並べました。どちらも、「スポーツ・レクリエーション地区」についてですが、まったく違います。
都市計画課は4年かけて、瑞穂公園の屋外観覧場の住民縦覧から始めて、建蔽率の緩和を瑞穂公園条例で行っているので、このままでよいです。建築指導課のこの「条例」は瑞穂公園には要りません。
建築指導課の「条例」は、住民縦覧することなく、法で定めた市民の権利「公園はつぶしてはいけない」「住居地区にアリーナはたてられない」「アリーナに公益性はない」を役人が無視できるとした名城公園の愛知国際アリーナのためだけの「条例」です。
建築基準法第48条第6項の規定(第二種住居地域における用途の制限)にかかわらず、下記の建築物の建築の用途の制限が緩和されています。①観覧場②建築物に付属する自動車車庫 と第2条解説にあります。「緩和」は、第1条で49条1項にありません。「制限」と「禁止」です。確かに「緩和」が49条2項にありますが、それには「国交省大臣の承認」が必要です。名古屋市住宅都市局建築指導部長に「大臣承認」を見せてもらいましょう。でも、あるわけないです。あったなら、第2条の建築基準法第48条第6項の規定(第二種住居地域における用途の制限)にかかわらず、下記の建築物の建築の用途の制限が緩和されています。①観覧場 は要りません。私の指摘する脱法は、第2条のこの「承認」のすり替えではありません。
都市計画法9条14項「当該用途を補完して決める地区」に従って建築基準法49条(特別用途地区)の条例を作るのが法律ですが、建築基準法48条(許可申請)にすり替わるというところが、とんでもない脱法です。都市計画課が作った都市計画決定と、建築指導課が作った条文を以上のように並べると、役人が法を捻じ曲げたのがよくわかります。
この条文では「特別用途地区」に指定されたら、建築審査会は関係なく緩和され、第二種住居地区において観覧場が建設できるとなります。もう、無茶苦茶です。
「条例は法の範囲内で作成する。」ものですから、この条例は無効であり、効力を持ちません。これが、今の名古屋市の建築指導部なのです。ワルです。
木造天守以来、住宅都市局長、建築部長は市長の言うことに逆らえない以上、ワルに徹し、どう市民を騙し、他部局に建築の問題を渡して身を隠すかを考え続け、このような悪行をおこなってきました。
木造天守は観光文化交流局であり、アリーナは緑政土木局です。どちらも違法建築であるのは明確であるので、彼らは「俺のところに案件を持ち込むな。」しかないのです。木造天守の竹中工務店は工事を始めなかったですが、アリーナの前田建設工業は工事を行っています。
都市公園法を守っていないアリーナを都市公園法5条に基づいて名古屋市が愛知県及び(株)愛知国際アリーナに管理を渡すなどありえません。違法、脱法はここに暴かれました。
このブログは、名城公園に建つ愛知国際アリーナは違法です Illegal Aichi Arena からはじめています。名古屋の歴史から公園の大切さをまず書きました。