2020年の文化庁の「史跡の上の歴史的建造物の復元・新基準」と「コンクリート天守は耐震改修しなさい。」の通達により、木造天守化事業は止まったのですが、4年経て、止まった理由を明らかにすることなく、マスコミは「木造天守は市長選の争点。」と騒いで候補者を追っています。広沢氏の発言だけを聞くと「名古屋城HPにすでに設計図はあり、そこに身障者の為の昇降機をつけられれば、それで木造天守工事に取りかかれる。」と、選挙民は捉えてしまいます。名古屋城HPに掲げられたのは設計図でなく、名古屋市・河村市長のやりたいという「企画・構想案」です。竹中工務店が2017年に2022年末竣工の請負契約を名古屋市と結ぶも、木造化事業を進められていない理由を、名古屋城HPにある竹中工務店の名が消された図面から解きほぐして行きます。
名古屋城HPにあるのは「基本設計図」でなく、名前は「基本計画図」であり、国交省のいう「企画・構想案」です。
「史実に忠実な復元」を目指した企画・構想案では、「観光客が登れる天守」の実現に至りません。
と私は言いきったのですが、わからないとコメントが多数ありました。「基本計画」「基本設計」「企画・構想案」の違いなど素人ではわからないのが当然です。それをうまく使って名古屋市はあたかも「基本設計図」があるかのごとく、市民を騙しています。それをあばきます。裁判<基本設計図ができていないのに、市は竹中に基本設計料7億4千万円を払った。不当だ、金を返せ。>の時に戻って、くどいぐらいに書いてみます。
この名古屋城HPのタイトルは<復元事業の進捗情報>ですので、「2020年にまとめた木造天守の「基本計画」は、河村市長のねがう危険な違法建築であり、名古屋市の天守木造化事業は止まっている。」と理解するのが正しいです。
●はじめに 「結論から」
名古屋城HPに2020年3月年度末に竹中工務店が名古屋市天守閣部会と行ってきた「企画・構想案」をまとめた事は認識してましたが、歴史ライターの水野さんの「市長が替われば木造天守ができよう。」の中日新聞の記事に対して、市民オンブズマンの内田さんが「基本設計図が名古屋城HPにある」と私に教えてくれました。
改めてに見ると、確かに設計図のように書かれており、広沢候補もそう思っているのでしょう。「身障者昇降機がチャレンジだ。」であり「文化財ホンモノ復元が原則だ。」とCBCの記者に既に「基本設計図」があるかのように答えていましたから。
でも、これは間違っています。文化財を文化財保護法によって決めるのは市長でなく文化庁だからです。特別史跡ですので、文化庁の了解がなければ、名古屋市は史跡内で壊すことも建設することもできません。
そして、文化庁は新品の国宝名古屋城のレプリカを文化財保護法にもとづいて「国宝同等、史跡の上に再現やむなし。」とは言いません。2020年4月に「史跡の上に歴史的建物を作る新基準・復元的整備」を定め、6月には全国13史跡に「耐震改修しなさい。」と通達を出しました。名古屋城も当然ふくまれています。広沢候補は役人から知らされていないのでしょうか。
史跡の中において、現天守を壊して木造天守を作ることを、2015年、河村市長は議員・市民と現天守の耐震改修案と比較議論することなく決意したのですが、その議論がない事を文化庁は2017年12月に名古屋市を責めています。
また、「唯一、名古屋城には復元できる実測図がある。」という名古屋市に対して、文化庁は「史資料の豊富さという事のみで、名古屋城天守を木造とする考えが正当化できるか。」と、市に返しています。国が復元した平城宮、首里城、どちらも残された図面はありません。史跡に上に復元するその建築の価値が重要なのです。「面白いぞ!テーマパークだ。」では、史跡の価値を高める事にはなりません。
文化庁長官も2015年には「木造天守に期待する。」と言っていましたので、名古屋市は文化庁にハシゴを外されました。
そうなったのは、本丸御殿と違い、天守7層延床5000㎡の木造復元は危険である事と、すでに「戦後復興のシンボル」として、文化庁は各地で作られたコンクリート天守に文化財的価値を認めていたからです。
●4案の内容を文章でしめすと、
この名古屋城HPの企画・構想案は、2018年2月28日に河村市長が竹中工務店の③仮説ハイテク500億円案を拒否し、「②新たな木製階段とスプリンクラーをつけた国宝姫路城なみ。」とした結果の集大成です。
①は、文化庁用語で「復元原案」と呼ばれている、復元対象建築物の当初あった姿です。
建設後の増改築で変わっている所があるので建設時の姿に戻し、本丸御殿であったように現代技術(ex.屋内消火栓、制振ダンパー)を付加するので、「原案」と呼びます。
④は、法同等の安全を「木造」で確保した案です。作れない事はないですが、構造材が木材と言いうだけで、インテリアは鉄骨造と変わりませんので、木造復元を行う上では検討対象外です。
●法適用除外(建築基準法3条)となる事がコンペの前提でしたが、国交省がすぐに崩しました。
<史実に忠実に復元するので、新築だが国宝と同じであり「法適用除外」という論理>が無くしては、年間400万人、一時に2500人の観光客を入れる、広沢候補のいう「ホンモノ」とはなりません。それを、広沢候補はさらに「文化財である」とまで言っていますが、それは間違いです。
文化財とは文化庁が決めるものであり、建築指導部長は「文化庁の了解が得られれば」としていましたが、文化庁は2020年4月に「史跡の上に歴史的建物を作る新基準・復元的整備」を定め、6月には全国13史跡に「耐震改修しなさい。」と通達を出しました。当然です、危険なレプリカを文化財相当であると文化庁が認めることはできません。
「史実に忠実な復元」と「観光客を入れる」が同時に成り立つことはありえないのです。国交省は、2017年3月歴史的建築物と建築基準法について の通達の中で「国宝、重要文化財以外の建築物は全て法の適用をうける。」と、早々に名古屋市にダメ出しをしています。なのに、文化庁が「史跡の上の歴史的建造物復元は、文化財同等であり法適用除外となる。」などと、言えるわけないのです。
コンペ要綱で指示された、「法同等以上の安全を大臣の特認で得る。」は、河村市長が③を拒否し②としたことで、できなくなり、名古屋市と竹中工務店は2018年4月9日の実施設計契約の中でコンペ要綱を変えています。
公共工事でコンペを行っているのですから、このように「法同等の安全」を済し崩してはルール違反です。「法同等の安全はできない。名古屋市で対応してくれ。」と言ってコンペで破れたゼネコンにもチャンスを与えないといけません。
設計条件を施主とゼネコンが協議して変えることはよくある事ですが、建築基準法が守られているかどうかをチェックする特定行政庁が、契約条件を破り、違法な手続きを行い、木造天守に入る人々を危険にさらすとは、とんでもない事です。
市民の命より、河村市長の言われるがままとなる事を優先している名古屋市の役人です。
竹中工務店としては、契約内容「法同等以上の安全を守る」と違いますし、殺人天守の設計・施工を企業としてできるわけもなく、名古屋城木造天守の請負契約を形だけは今も続行しているのですが、名古屋城HPの進捗状況から竹中工務店の名を消すのでした。2018年当時は、竹中工務店がコンペ「技術提案・交渉方式」によってどのように動いているかの解説が名古屋城HPにありました。
また、木造天守を既存のコンクリート基礎に載せるは3案併記であり決めていないので、このことからも「基本設計図」とは言えません。
①復元原案350億円では竹中工務店名古屋支店一級建築士事務所の4名の設計責任者の名がありますが、この名古屋城HPの「企画・構想案」の作成は名古屋市となっており、505億円で請け負った竹中工務店の名はありません。どこに行ってしまったのか。88億円も払っているのに。
実際に案を作ったのは、名古屋市天守閣部会の指導による竹中工務店ですが、この名古屋城HPには名古屋市住宅都市局の役人、天守閣部会の一級建築士の名もありません。誰も責任を負わないように名古屋市はしています。そんな案で建設できるわけないです。
「基本設計図」には設計責任者の一級建築士番号と名前の明記が定められています。
企画・構想について
国交省から設計段階を示すチャートをもってきました。設計には、基本設計と言って「関連官庁の了解を得て、着工日、竣工日、建設費の概算を定める段階」と、実施設計と言って「基本設計に基づいて実際に作り、見積るための設計図作成」の二つがあります。
その前に、建築では「企画」土木では「構想」と言って、スケジュール、金額が定まらない段階があります。
ここは官庁工事なら、役人がコンサルと共に行う施主側の仕事です。今の名古屋城木造化事業は、まさに名古屋城HPにあるように、施主側の仕事の段階に戻っているのです。
ここがわかりにくいところですが、建設業法にあるように、ゼネコンは、着工日、竣工日、金額、建物の内容でもって設計・施工一貫で契約しますが、企画・構想案つくりは建設業にはありません。
お金をもらって建物を引き渡すのが請負契約であり、企画・構想案つくりを委任契約で行うことは禁じられています。これは設計事務所を守るためです。
ゼネコンの企画・構想図つくりは営業となり報酬はもらえません。建設業から不動産業に展開しているゼネコンもあるのでわかりにくいですが、別会社にしています。
今回は日本初の「技術提案・交渉提案方式」と国交省が定めた新方式ですが、実は民間なら普通の「ゼネコンの設計施工」であり、当たり前の事です。
設計事務所に設計させ、入札で施工者を決めるのが官庁工事の原則だったのですが、予算、期日が守れない事が常態化し、難工事・大工事には、ゼネコンに、期日と金額を建物仕様と一体的に負わせる契約方式として作られました。
3段あるうちの最下段が名古屋城天守木造化事業です。技術提案をゼネコンがして、そこでスケジュールと金を決めるのですが、提案した企画・構想案から基本設計に移るに、建築内容がぶれるのでそこは交渉して金額を決めなおすという事です。
名古屋市と竹中工務店の基本協定
今回は、基本設計契約、実施設計契約、見積もり金額の議会承認、施工契約と段階を分けて基本協定としていますが、基本設計、実施設計の内容は国交省の告示にあるとおり、設計事務所と変わりません。
新聞にあるように、基本協定のあとすぐに基本設計に入る事になっています。ゼネコンに「企画・構想案」を作成させることはできません。すでに、名古屋市で「企画・構想」が固まっているという前提でしかコンペはできません。
が、今も「基本設計」に入れないままに、基本設計料8億4千万円、実施設計料7億円を名古屋市は竹中工務店に払いました。「企画・構想案」作りに必要な金額だったのでしょうが、それは請負契約違反、建設業法違反です。名古屋市は設計事務所を雇い役人共々コンペ要綱を作ったのですが、そこには固まった「企画・構想」はなく、身障者対策、法同等以上の安全など、役人の身の安全を図るだけの文言をならば、ゼネコンに判断させ、提案させるものでした。
竹中工務店は基本協定を結ぶに「文化庁との交渉は名古屋市の仕事」と明記して、実際に文化庁復元検討委員会との「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」では、「基本設計説明書300枚」を用意するだけで文化庁との打ち合わせには参加していません。
名古屋市が竹中工務店に払った88億円は建物が2022年末竣工日までにできいないので、名古屋市に返してもらうものです。
実際は名古屋市が事業の失敗を認めたくなく「事業継続中」と言うために、年1億円の材木保管料を市が払い竹中工務店をつなぎ留めています。このように事業がストップし材木を保管しなくてはいけなくなったのは基本協定に取り決めはなく、事業ストップは「企画・構想」をすべき名古屋市の失敗だから「保管料を払え。」なのでしょう。
買った材木は「設計ができていないのに、竣工日を守るべく買った竹中工務店の請負業の責任」のもと、「竹中工務店の所有」となります。
ゼネコンへの入金は着工、中間、竣工が普通であり、ゼネコンの設計中に入金されることはなく、鉄骨のミル発注など先行手配は請負業の責任で行います。
材木代として名古屋市は100億円の議会承認を得て、40億円を竹中工務店に既に支払っていますが、そのぐらいの金額で困るような竹中工務店ではありません。
河村市長が「天守木造化事業が進んでいるゾ!」と見せたいのと、河村市長と材木を用意した業者間での約束があったのでしょう。
名古屋市は金だけ返してもらう事しかなく、材木の所有権はありませんが、名古屋市が「保管料を払う」行為が、材木の所有者は名古屋市だと思わせているようです。多くの皆さんが、間違えていました。
「基本計画」と「基本設計」
基本設計の定義はありますが、企画・構想段階の定義は特にありません。今回の事業では、竹中工務店が2016年提案時に示した「設計工程表」がわかりやすいです。
役所との事前協議において竹中工務店は「基本計画図」を文化庁などに出し、文化庁などとの協議が「基本設計」であり、文化庁文化財保護審議会の案の承認をもって「基本設計図」が完成としています。しかし、いまだ、竹中工務店は「基本計画図」を文化庁に出していません。
ですので、名古屋城HPの設計図らしきものは「基本計画図」のままで、あえて「基本設計図」と紛らわしく「基本」が置かれており、正しくは「企画・構想案」としか表現できないものです。内容は2018年7月に文化庁に「基本計画案」として持ち込み、受け取りを断られた復元案②姫路城なみとほとんど変わりません。
建築基準法3条:新築の木造天守は国宝と同等であり法適用除外、はない。
これも、わかりにくところですが、これが今回の木造天守復元の鍵です。名古屋市建築指導部長(係長から聞く)は「文化庁の了解を得られれば文化財同等となり、市長の判断で建築基準法の縛りから外れる。」と私に言いました。
添付は文章で私の問い2019年12月に名古屋市が答えたものです。「文化財保護法の手続きを踏み」「再現がやむおえないとの判断」の主語がボケていて、しかも「建築指導課と協議を行っていく」と市民に対して他人ごとし、「私には責任がない。」を回答した観光文化交流局は匂わせています。
これが狂った市役所の典型ですが、「文化庁の了解」とは、建築基準法、消防法に定める 命、財産、健康を守る建築指導部長は、その判断を文化庁に預けたのでした。<命の危険がある木造天守の復元を、文化庁の名を使い、危険であるより文化財同等の復元の方が重要だと言う>のでは、当然文化庁は反発します。「それは名古屋市の仕事だろう。」と言い、結果、事業は止まりました。市長候補者たちは、復元された木造天守は、身障者の人権を奪うものとは知っていますが、命を奪うものとは思っていないようです。
河村市長の望む400年前の城を史実に忠実に復元したら、①復元原案、②姫路城なみ、にですが、人が死にます。殺人天守となります。観光で儲けて建設費に税金をつかわないというのですから、現代の法律、建築基準法、消防法、バリアフリー法にしたがわないといけないのですが、文化庁の熨斗紙「文化財同等」を③ハイテク仮設500億円案でいただいて、なんとかくぐり抜けようというのが今回の竹中工務店の提案のテーマでした。避難階段、エレベーター、排煙・換気と縦シャフトが多く立つのですが、「仮設」という詭弁で「外せば、文化財同等」と言うのでした。
竹中工務店は、最低の付加の姫路城なみの②とハイテク仮設付加③の2案を作り、文化庁との交渉は②から始め、現代の法の安全に近くする③との間で文化庁の了解を得ると、基本設計終了予定日の2018年2月28日に河村市長に了承を求めたのですが、河村市長は②姫路城なみしかみとめなかったのでした。「ホンモノでなくては作らん方がエエ。」と午後の記者会見で河村市長は発言しています。そうです、もう6年前に「つくらん。」と河村市長が決めたのでした。
以後7月まで、河村市長の方針で竹中工務店は動き、京都アニメのように「飛び降りるしかない」避難計画を文化庁に持ち込むのですが、文化庁は「順番が逆だろう、国交省、消防庁の了解を得たものを持ってこい。」と、案を受け取りませんでした。これで、コンペ要綱の「建築基準法3条の法適用除外が前提」は消えました。
コンペそのものが不調になったのです。あれから6年、名古屋市は市民を騙し、静かに河村市長の退陣を待ち、竹中工務店は首をすくめていたのですが、選挙でマスコミ・市民に「天守木造化事業」を思い出させてしまいました。
スケジュールについて竹中工務店、名古屋市が明記したものはない。
添付は文章で私の問い2019年12月に名古屋市が答えたものです。「新たな竣工時期が決まりましたら」とあるので、河村市長がやめるまでかと思っていたのですが、後継と名乗る広沢候補が「文化財、本物復元が原則」と、今も言って選挙運動をしているので、お先真っ暗だと感じ、私は大塚候補、尾形候補の事務所も訪ねました。しかし、2020年に文化庁が「コンクリート天守を耐震改修しなさい。」と名古屋市にも言っていることをどちらの候補も知りませんでした。
マスコミは木造天守事業が止まっている理由を知らないままに「木造天守事業が、選挙の争点」だと、建築・文化財素人の候補者に<好き、嫌い>で迫っています。
河村市長の減税政策は「金持ち減税だ」と、尾形候補が選挙公報で言っていますが、その分析と同様に、木造天守の問題もジャーナリストとして選挙民にあばかなくてはいけないのでしょうに。まったく、お笑い芸人と見まがうばかりの人しかテレビには出ていません。
2020年3月に松尾局長(現副市長)は、「2028年竣工構想」を打ち出し、石垣部会に「木造天守を作る前提での石垣調査、検討を進める。」と工程表を示しました。竹中工務店がかかわった工程表ではありません。表現がプロではありません。
「基本構想の精査、補強」が今も身障者団体と続き、点線の実施設計は当然行えず、木造天守の基本設計もないのですから、文化庁にコンクリート天守の解体通知もできません。
名古屋市は「構想」段階に戻ったのだとここに表明したのですが、議会は「なら、竹中工務店との請負契約は破棄だ。」とは言いません。議員は記者よりもっと契約を知らないのでしょう。ですので、無駄な税金が使われます。
名古屋城HPに「基本計画図」を置き、竹中工務店が消えたのと同時期です。
私が「文化庁にハシゴを外された名古屋市、天守木造化事業はどうなるか。」と書いた2020年5月と同時期です。
https://www.pontak.jp/citizen-campaign-no-wooden-nagoya…/
何故なら、文化庁が2020年4月17日に「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」を発表したからです。文化庁がハシゴ「史実に忠実な復元」を名古屋市から外したのと同時に、天守木造化事業はストップしました。広沢候補が「文化財だ」と言っても、それを決めるのは文化庁です。特別史跡ですので、文化庁の了解がなければ、名古屋市は壊すことも建設することもできません。
この後、2020年6月に文化庁は13史跡のコンクリート天守に対して「老朽化したからこの際壊せ、木造にせよとは言わない。戦後都市文化の象徴であり、史跡の価値を広めてきた。模擬天守も、である。耐震改修しなさい。」と通達をだしています。
この通達に対して、木造天守の2022年竣工を請け負った竹中工務店が「いや、木造天守の方が耐震改修より良い。」と企画設計を行うことはありません。建築を作る請負契約外、いえ、請負契約以前の企画・構想段階の事であり、名古屋市は別途、設計事務所と組んで「特別史跡名古屋城城跡 保存活用計画」からもう一度「木造天守復元の問題は解決した。耐震改修より木造天守復元がよい。」と、文化庁相手にやり直すしかありません。しかし、名古屋市はこの4年ほったらかしでした。「史実に忠実に復元」と言い続ける以上、殺人天守の問題は解決しないからです。
広沢候補が市長になれば、殺人天守となる天守木造化事業を行うゼネコンはなく、それ以前に「復元された木造天守はホンモノ文化財だ。」と、文化庁を説得する設計事務所も役人もいない事に気づきましょう。
河村市長は、文化庁への殴り込み「まず、コンクリート天守を壊させろ」により、文化庁から相手にされなくなりました。
次長が対応し、コンクリート天守の価値も話したそうですが、それに河村市長から無礼な発言があったと聞いています。もちろん、名古屋市も竹中工務店も木造天守復元では文化庁に相手にされません。
私も木造は大好きですし、名古屋城北東の櫓は木造で復元したいです。3層500㎡まででなら復元できると思っていますが、なんせ、名古屋城天守は大きすぎます。火事が起きれば2000人が死にましょう。
火事は怖く、フラッシュオーバー800度は消防車の駆け付けられる失火10分後の前におき、木造住宅の火事ではガス中毒で必ず家人は死んでいます。消防車は延焼防止にしか働けません。
燃えない都市とするべく、大きな建物は耐火建築、燃えない建築にしないといけません。
しかし、京都アニメーションでは、燃えない建築だったのですが、避難階段が二方向に取れておらず36人の死者をだし、32人の重軽傷者を出しました。2階から飛び降りた人だけが助かっています。
もう一度、②姫路城なみを見てください。避難は小天守に向かう一方向しかなく、そこで火災がおきれば、12m、4階の高さを飛び降りるしかありません、
裁判官、市民を騙す①復元原案でした。基本設計図は今もってありません。
裁判<基本設計図ができていないのに、市は竹中に基本設計料7億4千万円を払った。不当だ、金を返せ。>は、原告が負けました。私は二審になって原告に頼まれ「高橋の意見書」で<基本設計図は存在しない>と書いて裁判所に提出したのですが、二審の裁判官は「高橋の意見書」を証拠採用しませんでした。
一審では「基本設計説明書があるから、どこかに基本設計図があるのだろう。」と裁判官は表紙だけを見て判決文に書き、市民側に立って「名古屋市は、基本設計図を裁判所に提出せよ。」と裁判官は名古屋市に言わないのです。ないものは出せない、それで裁判は終わっていたのですが、名古屋は腐っています。三権分立は教科書の中だけでした。